原油は半年ぶり高値、なぜガソリン価格は上がらないのか

先週、ブレント原油はバレルあたり116.72ドルで取引を終えました。半年ぶりの高値です。ところが、ガソリン価格は同じようには動きませんでした。

米国ではむしろ下がり、韓国でも少しずつ下がり続けています。フランスでは燃料が完全に切れたスタンドまで出ました。同じ原油なのに違いが出たのは、原油の値動きが店頭価格に表れるまで時間がかかり、国ごとにルールが違うからです。

今月、原油価格が再び上がった理由は?

イランが関わる戦争で、原油を運ぶ海の航路が乱れ続けているためです。

先週はイランによるタンカー攻撃が相次ぎ、ブレントはその高値まで上がりました。ロイターが引用したワシントン近東政策研究所のデータでは、イランとアラビア半島の間の狭い海峡、ホルムズ海峡を通る船への攻撃は、今月が過去最多です。

問題は数カ月前から続いています。米エネルギー情報局(EIA)によると、最も深刻だった時期には、中東の原油が日量約1,090万バレル止まっていました。先月にはそれが480万バレルまで減りました。

その後、サウジアラビアの東西パイプラインが攻撃されると、ブレントは先月半ばに131ドルまで上がりました。このパイプラインは、サウジの原油をホルムズ海峡を通さずに運び出すためのものです。

0%1月2日10月29日ブレント原油● ブレント原油 +82.2%
グラフ:ブレント原油先物、2026年1月2日からの変化。出所:Yahoo Finance、MKViz計算。

イランはサウジアラビア、トルコ、パキスタンの当局者と協議していますが、戦争を終わらせる合意はまだ見えていません。今週、FOMCで二人が利上げに票を投じたのも、エネルギー価格の上昇が一因とみられます。

原油高はいつガソリン価格に表れますか?

ふつうは数週間かかります。それも一度にではなく、少しずつです。

米国では、原油価格の変化のうち約50%が二週間以内に、約80%が四週間以内に店頭価格に表れます。上がるときは下がるときより速く反映されます。韓国ではふつう二、三週間遅れます。

ですから、原油が急騰したというニュースを見たら、まず日付を確かめてください。今日の値上がりは、来月スタンドで払う値段かもしれません。

各国のガソリン価格はいまどうなっていますか?

国によって大きく違います。原油価格と私たちが払う値段の間に、税金や価格の上限、補助金があるからです。

国 いま起きていること
米国 レギュラーガソリンは2026年10月29日時点でガロンあたり約4.23ドル。スタンドが安い冬用ガソリンに切り替え、10月1日の4.41ドルから下落。連邦の軽油税は年末まで猶予、複数の州が独自の燃料税を引き下げ
日本 補助金でガソリン価格を抑制。補助額は先月リットルあたり51円と過去最大。与党は基準価格170円を、年末から毎月リットルあたり約5円ずつ引き上げる案を示した
フランス 2026年10月18日、燃料が完全に切れたスタンドが595カ所。軽油はリットルあたり約2.36ユーロ
ドイツ 10月1日から2026年12月31日まで、エネルギー税をリットルあたり14ユーロセント引き下げ
インド 国内に燃料を多く残すため、ガソリンの輸出税をリットルあたり0.5ルピーから2.5ルピーに引き上げ
韓国 ガソリンはリットルあたり約1,857ウォンで、22週連続の下落。製油会社がスタンドに卸す価格はリットルあたり1,784ウォンが上限
出所:AAA、Avalara、KAB、L’Automobiliste、ドイツ連邦政府、Free Press Journal、慶北毎日、MTNニュース。表:MKViz作成。

この中で私は、ドイツのように終わりの日を決めた減税のほうが良い選択だと考えます。期限のない減税は、燃料を節約しようと思わせる価格のシグナルを隠し、やめるときに価格が一気に跳ね上がります。補助金を縮小しようとしている日本は、まさにその問題に直面しています。

インドのガソリンのように輸出に税をかけると、国内に燃料が多く残ります。でも、一国が残した分だけ、近隣の国は買えなくなります。だから私は、輸出の制限は最初に使う手ではなく、最後の手段だと考えます。

原油高は家計にどれくらい響きますか?

給油代そのものは思ったより小さく、負担はほかの物の値段を通じて大きくなります。

円でもドルでも、毎月の給油代を100としましょう。店頭価格が10%上がると、ひと月に10増えます。たいていの家計なら吸収できる額です。

大きな負担は軽油と暖房用の油から来ます。米国の軽油は先月ガロンあたり平均6.29ドルで、ガソリンの4.35ドルよりずっと高く、店に並ぶ物の多くはトラックで運ばれます。油で暖房する米国の家庭は、この冬の暖房費が約21%増える見込みです。

原油価格はこの先どうなりますか?

米国の公式見通しは、緩やかに下がるとみています。護衛船団や迂回ルートで、中東の原油が少しずつ多く出てくる前提です。ブレントは今年最後の四半期に約104.69ドル、来年は約83.74ドルの予想です。

114ドルブレント現物、9月平均
104.69ドルEIA見通し、10〜12月期
83.74ドルEIA見通し、2027年
グラフ:ブレント原油、1バレルあたりのドル。出所:米エネルギー情報局、2026年10月の見通し。

方向を自信を持って当てられる人はいません。ですから、見ておきたいのは二つです。タンカーへの攻撃と中東の供給、そしてブレントが再び百ドルを下回るかどうかです。

合意で供給が戻れば、この見通しより速く下がるかもしれません。攻撃で供給が減り続ければ、百ドルを超える値段が続くかもしれません。

住んでいる国に燃料税の減税や補助金があるなら、いつ終わるのか確かめてください。店頭価格は原油を数週間遅れて追うので、今週の原油価格よりその日付のほうが、家計には大事かもしれません。

読者投票

ブレント原油、年内に100ドルを割り込むでしょうか?

判定: 2026年12月31日のブレント原油終値 · 読者の意見であり、投資助言ではありません。

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